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目次
普通栽培
1.月別主要作業
2.品種と栽植
3.整枝剪定
4.主要病害の防除
5.主要害虫の防除
6.農薬の安全使用
7.スピードスプレーヤによる
 防除効果をあげるために
8.授粉
9.摘花・摘果
10.袋かけと除袋
11.着色手入れと落果防止
12.収穫と貯蔵
13.土壌改良
14.水田転換園の土壌改良対策
15.土壊管理
16.施肥
17.生理障害対策
18.災害対策
19.鳥獣害対策
わいか栽培
1.わい化の目標
2.栽植までの準備
3.栽植
4.整枝勢定
5.一般栽培管理

14.水田転換園の土壌改良対策
水田転換園は、排水対策や鋤床破砕をしなかったり、不良な土壌を客土した場合には極端な生育不良を招きやすい。したがって、排水や鋤床破砕、土壌改良などの対策を徹底して実施しなければならない。
1) 基盤整備
図は水田転換園の排水処理方法を模式図であらわしたものである。



(1) 地区外からの浸透水の防ぎ方
ア 捕水きょの設定
計画地区外からの浸透水を遮断するために園地の外周に捕水きょを設ける。捕水きょは地表水の排除をも兼ねて明きよとする。明きょの深さは1m以上とし、上幅は深さと同じくらいで、下幅は40〜50cmにする。末端排水路との関係で明きょを設定できない場合は、捕水きょは暗きょとせざるを得ないが、この暗さよは園地内の暗さよとは区別する。
イ 水こうの設置
豪雨時や田植え時など、一時的に排水路の水位が高くなるようなところでは、逆流防止のために水こうを設置する。

(2) 園地内の排水方法
園地内の排水は、地下水位低下と地表停滞水排除の両面を勘案した対策を実施する。
ア 地下水位を下げる方法
(ァ) 地表停滞水の排水や地下水位の低下を図るために暗きょを施工する。
(ィ) 暗きょを施工する場合、排水路水位と田面との落差が1m位以下に埋没できるように、不足分を客土で補うか、又は貯水清に一時排水した後、ポンプで排水路に排水する機械排水とする。
(ゥ) 機械排水は1ha以下のような小規模転作園では機械の維持管理費が割高となり、また、周辺の地下水位の影響を受け易いので、1ha以上の転作園で実施する。
(ェ) 暗きょの深さは1m以上とし、間隔は8m前後とする。堀さくによって生じた溝部分には、透水性を確保するためには、もみ殻、ホタテ貝殻などを地表近くまで充てんする。



イ 地表停滞水の排除方法
(ァ) 園地造成に当たってはできるだけ勾配をつけ、地表水を排除し易いようにする。
(ィ) 水田は鋤床を形成しているので、プラウや深耕用ロータリーでこれを破砕し、地表の停滞水や土壌中の過剰水を排除して湿害を防止するとともに水田土壌の畑地化を図る。
(ゥ) 地表水を速やかに排除するために、地下水位の低下を図る本暗きょ以外に浅い補助暗きょを組合せる。補助暗きょは疎水材(もみ殻など)埋設暗さよや弾丸暗さよとして本暗きょに直交させる。深さは40〜50cmとし、間隔は栽植距離を勘案して4〜6mとする。
2) 転換園の土壊改良
(1) 全園の改良
全園には10a当たり4t以上の堆きゅう肥と所定の石灰質肥料を施用する。石灰質肥料の必要量は土壌の種類やpH値によって異なるが、将来の主要根群域(深さ60cm)を見込んだ量とする(「酸性土壌の改良」の項を参照)。具体的な改良方法は、「新種及び政権時の改良」の項に従って実施する。

(2) 植え穴の改良
排水対策が不完全であれば植え穴に水が溜り根に障害を与えるので、排水対策は完全に行う。通常、直径60cm、深さ60cmの大きさで、改良資材は堆きゅう肥10kg、苦土炭カル0.3〜0.5kg、溶成りン肥0.7〜1.0kgでよいが、客土園など透水性が悪かったり、土壌改良が不完全な園地では幅90cm、長さ1m、深さ60cmくらいの大きな植え穴か帯状に植え穴を造る(「新植及び改植時の土壌改良、植え穴の改良」の項を参照)。また植え付けの際には田面より10〜15cmくらい高く鎮頭型に盛土し、地表停滞水の悪影響を避ける。
3) 客土の留意点
(1) 紋羽病対策
山の黒土は紋羽病の発生が懸念されるので、できるだけ客土として使用しない。やむを得ず、使用した場合は、クロルピクリンにより土壌消毒する(「紋羽病」の項を参照)。

(2) 鋤床破砕と客土部分の深耕
客土する場合は、下層土との連続性を保持するために鋤床を破砕してから客土する。また、造成・整地時に重機械の踏圧を受けるので、客土後リッパードーザーやバックホーなどで60cm程度深耕する。

(3) 植え穴の土壌
客土として使用される土壌は一般に養分に乏しいので、植え穴には表土など肥沃な土壌を入れて初期生育の促進を図る。

(4) 有機物補給の徹底
一般に客土材料は腐植の乏しい土壌が多いので、客土した場合は有機物補給を徹底する。堆きゅう肥の入手が困難な場合には緑肥作物を栽培して鋤き込む。
4) 植え付け後の管理
(1) 土壌管理の徹底
植え付け後はできるだけ早く樹間部に牧草類を播種する。また、樹冠下には、毎春10a当たり600kg程度の堆きゅう肥と100kg程度の石灰質肥料を施用して地力の増進と酸性化防止を図る。また、不良土壌の客土により乾燥しやすい園地では土壌水分を保持するために稲わらマルチを行う。

(2) 葉面散布の活用
栽植後の生育が劣る場合には尿素の葉面散布を数回行う(水10l当たり尿素20g)。

(3) 既存園の改良
園地造成時に十分な改良対策を実施しないで栽植し、排水不良などにより生育が劣る場合、次の対策を行う。
ア 排水対策
(ァ)補助暗きょの実施
地表水の排除が悪い場合は、図の要領に従って浅い補助暗きょ又は弾丸暗きょを実施する。
(ィ)水みちの設置
植え穴に水が溜るところでは、樹列方向に植え穴の端の部分が接するように溝を掘り、もみ殻を入れて水みちを造る。
イ 樹列間の改良
トレンチャーなどを利用して深耕し、堆きゅう肥と石灰質肥料を投入する。深耕の際は断根に注意し、樹冠の外縁の少し内側から始める。