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目次
普通栽培
1.月別主要作業
2.品種と栽植
3.整枝剪定
4.主要病害の防除
5.主要害虫の防除
6.農薬の安全使用
7.スピードスプレーヤによる
 防除効果をあげるために
8.授粉
9.摘花・摘果
10.袋かけと除袋
11.着色手入れと落果防止
12.収穫と貯蔵
13.土壌改良
14.水田転換園の土壌改良対策
15.土壊管理
16.施肥
17.生理障害対策
18.災害対策
19.鳥獣害対策
わいか栽培
1.わい化の目標
2.栽植までの準備
3.栽植
4.整枝勢定
5.一般栽培管理

7.スピードスプレーヤによる
 防除効果をあげるために
1) 防除を始める前に

(1) 病害虫の発生状況の把握

(防除効果をあげ、農薬費を節減するためには、病害虫の発生状況を的確に把握することが必要であるので発生時期・程度・部位を観察し、記録を積み重ねることが適切な防除時期を知ることにつながる。現在、害虫発生予察用フェロモン剤による発生予察がリンゴコカクモンハマキについて実用化している(「フェロモントラップによる発生調査」の項を参照)。
(2) 県標準防除暦の活用
標準防除暦は県下で発生している主な病害虫すべてを対象にしている。したがって地域ごとにみると、発生がほとんどなく、防除の必要がない病害虫もある。また、一層強化しなければならない場合もあるので、前項の発生観察などによって地域の実態を把握し、防除暦の活用を図る。また、防除暦の活用に当たっては、散布量、散布時期、農薬の選択など前年の防除で失敗した点、成功した点を本年の計画に十分織り込むようにする。
2) 薬液付着の確認
自然風、立地条件、散布コース、樹形、枝量など種々の条件によって薬液の付着程度が異なってくるので、散布後の薬液の付着状況の確認を行い、次回の散布の参考にし、場合によっては補助散布を行うなどする。
3)散布に当たって
(1) 適正な散布速度を守る
ア 時期によって速度を変える
現在導入されているスピードスプレーヤは機種及び型式が多く、一概に言えないが、大風量や高波圧型のスピードスプレーヤでは次の速度が基準である。



ただし、風量850m3/分、液圧4.5kg/cm2以下の小型スピードスプレーヤではこれよりも約0.5〜1.0km/時、速度を落した方が良い。
イ 栽植距離によって速度を変える
樹間隔が異なる場合は、薬液の到達性を良くするために速度を変える必要がある。アの基準速度は現在県内に最も多い7.3m(4間)植の例であるが、樹間隔が2m増す毎に速度を0.5km/時遅くする。また、栽植距離が狭い場合は速度を増しても良いが、4km/時以上にすると薬液の有効到達性が極端に悪くなるので速度を早くしすぎない。

(2) 適正な散布量を守る
ア 時期によって散布量を変える
最近、共同防除などでは散布量を減らす傾向が強く、これらが腐らん病、ハダニ類などの病害虫の多発を招いている例も多いので、時期別の適正散布量を守ることが大切である。
芽出し当時  250l/10a
芽出し10日後  300l/10a
開花直前  320l/10a
落花直後  350l/10a
落花15日後頃  420l/10a
落花30日後頃以降  600l/10a
イ 機種によって散布量の決め方が異なる
目標の散布量は、(@)機種の散布速度、(A)噴口の数、(B)噴口の大きさ、(C)液圧の四つの要素によって決まるが、機械によってかなり差があるので、各機種の仕様書をよく読んで決定する。しかし、同じ噴口を年間通じて使用すると薬液によって磨粍が激しく、散布量が変わってくるので注意する。
(3) 適正な噴口の配列を守る
樹型や対象病害虫の防除目的に応じてノズルの噴霧の垂直分布を決める。環状に配列されたノズルの中で、多量の噴霧や到達性の強い噴霧を必要とする方向(角度)には、吐出量の大きいノズルを使用する。現在のスピードスプレーヤはほとんどが、散布角度240度(片側120度)以上となっている。
○毎分吐出量が決定されれば、片側のノズル吐出量はその1/2となる。
○計算した吐出量になるようにノズルの大きさ、使用個数を定める。(ノズルごとの吐出量に基づいて行う)
○各部分の吐出量の割合を樹の状態及び散布時期によって定める。
ア 枝幹部防除時の配列



↑収穫後(11月上旬〜)の腐らん病などを対象とした散布の場合、左図の割合が望ましい。この場合、地表にも相当薬液が落ちるようになる。ただし、風量850m3/分以下、液圧4.5kg/cm2以下の場合は高圧ポンプを搭載するか動噴の利用を考える。

イ 枝葉部主体防除時の配列



↑特に夏期繁茂時における場合は左図のようにする。ノズルの流量を少なくする部分にはめくらノズルを使用する。また製品によってノズルの消耗が異なるが、よく点検して消耗した部分は取り替える。

(4) 正しい散布コースを選ぶ
ア 時期によって散布コースを変える
機械は性能上、かなりうまく散布しても、又状の枝の部分に薬剤の付かないことがあるので、一年を通して同じ場所に散布ムラが出ないようにできるだけ散布コースを十文字にとれるように剪定の時から考えておく。
イ 9.1m(5間)植以上の植え幅では十字散布も考える
現在の大型の機種では7.3m(4間)植が最も効果的な散布となるが、9.1m植のような樹間隔の広い園では、特に、夏期に葉の繁茂が激しくなると付着が悪くなるので、十字形走法やS字形走法も取り入れる。
ウ 自然風により散布コースを変える
春先は風の強い日に散布することが多いが、風によってできるだけコースを変えた方が良い。横風を受ける場合は風上の方に寄ったコースをとらないと風上側の付着が悪くなる。また、風の強い場合はなるべく追風を受けるような散布が好ましい。しかし、平均風速7〜8m/秒(10分間平均)又は最大瞬間風速10〜12m/秒以上になったら散布ムラが出やすくなるので散布をやめる。
エ 特殊な場所では散布するコースを工夫する
園内に障害物がある場合はできるだけ取り除く。
オ 樹冠下走行をやめる
樹冠下走行は、事故に結びつくだけでなく、土壌を悪化させ、樹勢を弱める原因となるので、できるだけやめる。
カ 以上のような方法でも十分な防除ができない場合は動噴による補助散布を実施する。